酷暑と言われた2023年の夏がようやく過ぎ去り、10月に入って東京都内も朝夕がとても過ごしやすくなりました。
この夏、東京都内では4年ぶりの花火大会やお祭りが目白押しで、出かける場所には事欠かなかったです。なかでも23区の東部に位置する江東区の深川エリアは盛り上がりました!
今回のブログは生活圏内からも近いのでよく訪れる、門前仲町の2023年夏~秋の「ちか旅」日記です。
冒頭の花手水の動画は、10月5日から15日まで深川エリアで開催されている箇所を14か所めぐって集めました。「深川花手水2023秋」はこの春にひきつづき街に彩を添えてくれます。
手水(ちょうず)とは、参拝客が神社仏閣での参拝前に水で手や口をそそぎ、清める作法・儀式を指します。そもそもの始まりは、コロナ禍で神社仏閣の手水舎が参拝者の手水を控えたことから始まっています。
深川では、神社仏閣のみならず門前の商店街の店先でも小さな花手水を飾ってイベントを盛り上げています。去年10月から春の開催を経て、今回3回目を迎える深川花手水2023秋は全部で15か所あります。前回より3か所、参加店舗が増えたのですが、よく歩くエリアなので1時間ほどあればすべて回ることができます。今回はどうしても見つからない1か所を除いて14か所をめぐることができました。
【深川花手水 2023秋】
開催期間:2023年10月6日(金曜日)午後から2023年10月15日(日曜日)まで
実施施設(鑑賞時間は各施設で異なります)
①寺社
富岡八幡宮(富岡1-20-3)
成田山 深川不動堂(富岡1-17-13)
永代寺(富岡1-15-1)
②観光案内所
深川東京モダン館(門前仲町1-19-15)
③その他の施設(商店など)
みなとや(門前仲町2-4-9)
門仲銘茶 石﨑園(富岡1-10-10)
鬼頭酒店(富岡1-8-13)
其角せんべい(富岡1-14-7)
門前茶屋(富岡1-5-1)
美食酒彩 卯月(門前仲町2-9-5)
深川宿 富岡八幡店(富岡1-23-11 富岡八幡宮境内)
深川めし 八郎右衛門(牡丹3-30-1)
門前仲町 酔月(富岡1-5-1)
深川伊勢屋 門前仲町本店(富岡1-8-12)
ハナトシ花園(富岡1-5-1)
深川・江戸伝統工芸品“季華”(富岡1-23-13)
とんや(門前仲町2-3-5)
カフェ・デザールピコ門前仲町本店(牡丹3-7-5)
問い合わせ先:一般社団法人 江東区観光協会
連絡先:03-6458-7400(平日午前9時から午後5時まで)
下町の中心・富岡八幡宮は1年を通して行事がたくさん!
この街の最寄駅は東京メトロ東西線の門前仲町駅です。
駅から近い場所に2つの寺社があり、地元の人の信仰を集めています。
深川不動尊と富岡八幡宮は門前仲町の二大参詣箇所でしょう。
この夏は特に富岡八幡宮に注目しました。
赤坂の日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つに数えられている富岡八幡宮の例祭は8月15日を中心に行われます。3年に1度、八幡宮の御鳳輦が渡御を行う年は本祭りと呼ばれ、コロナ禍で開催がなかったこともあり、実に6年ぶりの開催となりました。江東区のあちこちから53基の町神輿が勢揃いして連合渡御する「深川八幡祭り」は別称「水かけ祭り」とも言われています。
神輿を担ぐ人も見る人もびっしょり!!の【水かけ祭り】
「わっしょい、わっしょい」の掛け声で賑わう神輿の担ぎ手に、沿道の観衆から担ぎ手に清めの水が浴びせられることが由来します。水をかける方も一体となり、江戸時代の祭りに掛ける情熱を今に伝えるお祭りとして、多くの人々によって大切に受け継がれています。
神輿の担ぎ手は朝から富岡八幡宮に集まり、約8kmの道のりを練り歩く「各町(かくまち)神興連合渡御(とぎょ)」が盛大に行われました。
祭り見物は午後15時過ぎまで江東区の各地で楽しめます。わたしは友人と昼過ぎから街に繰り出しました。すでにびしょびしょの担ぎ手たちに、これでもか、まだまだだ、とばかりにバケツの水やホースの水が浴びせられます。
カメラを向ける見物客は「ずぶ濡れ」要注意です!!!
永代通りは神輿の担ぎ手で埋め尽くされます
音頭を取るホイッスルの音、神輿を担ぐ群衆の掛け声、水しぶきを上げる沿道の見物客、街全体が地響きかと思うくらいの轟音に包まれました。
酷暑だからこそ、かけられた水が熱気となって湯気が立つほどのエネルギーを肌で「じっとり」感じたお祭りでした。次回は3年後、2026年の開催です。
あの熱気から1か月半、中秋の名月を境内一円で楽しむ
富岡八幡宮は一年を通して街のコミュニティであるべく、さまざまな季節の行事を境内で開催しています。夏の後に巡る秋、中秋祭が開催されました。
2023年9月29日から三日間の夕方から夜にかけ、境内に設けられた舞台では地元の有志によるさまざまな「ショー」が繰り広げられました。元々は8月15日に開催していましたが、近年は旧暦の8月15日に時期を戻したのです。「中秋の名月」とは、太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月のことを指します。
参道の鳥居をくぐったとたんに聞こえてきたガムランの音色に、ここはバリ島?と思うほどの雰囲気を醸し出していました。
地元の団体がバリの舞踊・ガムラン演奏や深川おどり、ライブ演奏など、夕刻からのひとときをのんびりと鑑賞していました。
バリの舞踊音楽を聴きながら、境内にしつらえられたすすきの行けられた花台や月見団子を写真に収めました。
3日間行われたなかで2日目にお参りをしましたが、その夜は本殿で神楽の奉奏がありました。
限られた席しかないため、早めに席を確保して始まる時間を待ちました。
時間が迫ってくると、付近の旦那衆が前列に着席し、やがておごそかに楽が奏でられました。
注目するのは巫女による「浦安の舞」と男性神職による「朝日舞」でした。
平安装束に身を包んだ4名の巫女たちが雅楽の音律に合わせてしずしずと本殿に現れました。
この「浦安の舞」は昭和天皇が読んだ御製に宮内庁の楽長が作曲作舞したもの。世界の平和を願う祈りがこめられているそうです。
あめつちの 神にぞいのる 朝なぎの
海のごとくに 波たたぬ夜を
また、男性の神職による舞はとてもめずらしく、「朝日舞」は終戦後に作られた宮司舞だそうです。明治天皇の御製二首を舞に仕立てたもので、男性が舞うというのも珍しい光景でした。
さしのぼる 朝日のごとく さはやかに もたまほしきは こころなりけり
目に見えぬ 神にむかひて はぢざるは 人の心の まことなりけり
境内の舞台では雅楽の演奏に合わせ、子供たちの「鳥の舞」「蝶の舞」も披露されました。子供たちの保護者様とみられる大人が三脚にカメラを据えて必至で我が子を追う姿もほほえましかったです。
そうこうするうち、満月から一夜明けた十六夜の月が境内を照らし始めました。
月明りのもとで平安時代に思いをはせながら雅楽の演奏に魅了されるひと時を過ごしました。
お祭りの3日間は境内のライトアップが施され、夜でも鮮やかな写真をたくさん修めることができ、写真愛好家としては大満足のイベントです。
三重県の「希望の園」に所属するアーティスト奥亀屋一慶さん(21)が描く干支にちなんだ「ウサギ」の絵馬です。展示は2023年12月末まで。
地元出身のボーカリスト、光永亮太さんのミニライブでは大きな人だかりができました。地元の人に愛されているのを肌で感じます。
この夜最後の催しが光永さんのライブでした。その歌を聴きながら本殿を後にします。
そして参道のいつも閉ざされた扉が開いている収蔵庫をのぞきに行きました。
御本社一の宮神輿は平成3年に作られました。あまりに巨大すぎて担ぐことができず、収蔵庫に安置されることになった逸話のある神輿です。
見上げて目を凝らしましたが、鳳凰の目のダイヤモンドを確認することはできませんでした。宮司一名が「番」をしていました。「ALSOK』の警備員が二名くらいで守った方が良いのでは?と思うほどの宝飾品がいっぱいの絢爛神輿です。
鳳凰の胸 ダイヤ7カラット
鳳凰の目 ダイヤ4カラット 1対
鳳凰の鶏冠 ルビー2,010個
狛犬の目 ダイヤ3カラット 2対
隅木の目 ダイヤ1カラット 4対
小鳥の目 ダイヤ1カラット 4対
屋根 純金24kg
その他プラチナ、銀、宝石多数使用
いつもは透明の扉で閉ざされ、写真でもなかなかきれいに写すことができない神輿です。まじまじと、右から左から、嘗め回すように鑑賞しました。
楽しいひとときを過ごした境内を後にします。
富岡八幡宮にはたくさんの「碑」があります。その中でもこの夜ライトアップされて脚光を浴びていたのが日本地図を編纂した伊能忠敬の像でした。チーム伊能忠敬は測量に出かける第1回目から第8回目までの出発の都度必ず、内弟子と従者を率いて富岡八幡宮に参詣して、無事を祈念したそうです。伊能忠敬は富岡八幡宮からほど近い黒江町(現在は門前仲町1丁目)に隠宅を構えていました。
BS放送で「伊能忠敬を大河ドラマにしたい」、というストーリーの映画「大河への道」を観たばかりでしたので、いつもは足を止めない像を感慨深く眺めました。泣けて笑えて、観て良かった映画の一本です。
秋の夜散歩は気持ちがいい
ひんやりとした夜風が吹き抜ける境内に、華やかな手水舎が現れました。去年10月に始まった「深川花手水」です。冒頭の動画はお楽しみいただけましたでしょうか。
深川花手水2023秋が始まる初日は、そんな夜の境内で花手水を愛でました。
飲食店の花手水は夜の営業中の方がきれいに見えるだろう、ということで周辺を歩いていた流れで立ち寄りました。
この秋の花手水は「ハロウィン」カラーがテーマのようで、オレンジ色や赤色、紫色の花が多く敷き詰められていました。
おとずれた14か所の花手水をコラージュにしてみると、
なんとにぎやかで華やかなことでしょう!
江東区の夏はほんとうににぎやかだった
昼間は参拝客でにぎわう門前仲町。夜間は地元の人たちが気軽に暖簾をくぐれる飲食店が多く、そこに混ざってみたいなあとは思うものの、まだ勇気がありません。
番外編 : 6,000発の花火が夜空を彩った江東区花火大会2023
この夏唯一出かけた花火大会が江東区花火大会でした。
7月下旬から8月のお盆にかけ、全国でも4年ぶりの花火大会が多かったと思います。江東区花火大会もご多分にもれず、久しぶりの開催に街は沸いていました。
各地の花火大会を吟味しましたが、今年は江東区花火大会を満喫しました。抽選で観覧席が当選したので、旧荒川河川敷から間近に打ち上げ花火を楽しみました。
海抜ゼロ地帯でもある河川敷の西側は、洪水を避けるための高い堤防があります。コロナ禍以前は早くからの場所取り合戦もあったのでしょう。けれど今年の夏は、抽選にあたるか有料観覧席を購入した人でなければ土手の川岸に立ち入ることができません。わたしが当選したのは「席」ではなく土手の傾斜を利用したブルーシートでした。
2名で十分の広さを確保し、となり前後のグループとも一定の距離があります。さらに川面からの風が涼しく、酷暑といわれて覚悟していた夜が、なんとも過ごしやすい環境のなかで花火の干渉ができました。これで今年の幸運を使い果たしたのではないか不安になります。
天空に轟く打ち上げ花火の音が、帰宅してもしばらく脳裏に聞こえてきました。
クルーズの旅に出かけた以外、ほぼほぼ夏は都内で過ごした2023年ですが、江東区は大いに盛り上がり、楽しみが尽きない数か月でした。
遠出しないで地元で楽しむ視点を養えたのはコロナ禍のおかげでしょう。円安や燃油高で海外旅行を見送る年月が長くなりました。もう少し身の回りで「ちか旅」を楽しもうと思います。
江東区 季節のイベントのおさらい(次回開催の時はぜひ足を運んでください)
【深川花手水】
2023年10月5日~15日
今年は春にも開催されたので、来春もあるかもしれません。
【富岡八幡宮例大祭】
深川八幡祭りは毎年8月15日前後に開催。
三年に一度の本大祭の際に八幡宮の神様が乗られた御鳳輦が渡御(写右下)し、そのお礼として町内の神輿渡御が行われています。次回は3年後の2026年のはず!
【深川十五夜まつり】
秋の中秋の名月に開催予定。中秋の名月は年によって変わりますので、参考までに。
深川十五夜まつり 2023
日 時:9月30日(土)~10月1日(日)
時 間:14:00~20:30
場 所:富岡八幡宮境内(東京都江東区富岡1-20-3)
ライトアップ
点灯日時:9月30日 (土) 日没~20:30
10月1日 (日) 日没~20:00
【江東区花火大会 2023】
開催日:2023年8月11日(祝・金)
4年ぶりとなる江東花火大会は、観客席を全席指定の約1万人に限定。
会場周辺での交通・立入規制に加え、会場内外には十分な警備員を配置するなど、安全対策を行った上で開催されました。
午後7時、区長の開催宣言後、午後7時10分、荒川に浮かぶ台船から花火の打ち上げが開始。
6,000発が打ち上げられました。
来年の開催日は江東区のホームページで確認します。