夏の暑さで体力を奪われるこの時期、終日お出かけするのは体力的にも気力的にも危険を伴う気候です。炎天下の街歩きは2時間が限界。2時間歩いたら1時間休憩、という具合に休み休みのお出かけです。
7月に入り、お散歩する日が圧倒的に減りましたが、体力づくりのため2時間だけの外出でどこまで「旅」を楽しめるかを検証します。


2時間お散歩メニュー

1.    築地本願寺~銀座
       築地本願寺本堂・
       寺カフェTsumugi・
       歌舞伎座屋上庭園

2.    上野公園
        清水観音堂・不忍池の蓮・
        花園稲荷・国立西洋美術館(外観のみ)

3.    東京駅八重洲口~日本橋室町
        八重洲口グランルーフ・
        東京ミッドタウン八重洲6階・
        福徳神社

4.    蔵前
        磯村政次郎商店(ごま油)・
        Dandelion Chocolate
       (チョコレート物販・カフェ)・
        Lin-ku Labo(革製品・かばん)・
        東京リバーサイド蒸留所(クラフトジン)





1.    築地本願寺~銀座
夕方16:00過ぎてから東京メトロ日比谷線の築地駅に降り立ちました。
本堂では夕方のお勤めがはじまっており、出入り自由で法話を拝聴できます。
本願寺の建物はインドの雰囲気も醸し出す異国風の風貌で、日本独特の寺院建築とは一線を画します。
設計したのは伊藤忠太氏。
京都の八坂にある「祇園閣」の設計でも知られます。
本堂の建築の細部は見ていて飽きません。外観は異国情緒漂いますが、本堂に入ると浄土真宗の典型的な本堂の形式です。
阿弥陀様のおわします内陣は金箔で彩られ、極楽浄土を表します。
築地本願寺には御朱印がありません。
その代わりに月替わりの仏の教えを記したしおりが自由にお持ち帰りできます。
私自身は宗派に関わるわけでもなく、特別な信仰心もないのですが、一参拝者としてこの自由に開かれたお堂の空間に立ち入ると安堵の気持ちが芽生えます。
土足で入れる、椅子が用意されている、誰でもお参りできる、開かれたお寺という雰囲気です。

48C6004A-B852-486C-8DEE-39022D9A0428.jpeg 1.28 MB境内には寺カフェ「Tsumugi」があります。
朝食の18種類の小皿がついたお膳が大人気で、朝から行列するカフェです。
今回は閉店のラストオーダー間際に滑り込みで入店しました。
境内を見渡せるガラス張りの窓際の席に陣を取り、考え事をしながらお茶をいただきました。
お茶を練りこんだパスタもめずらしく、1時間弱ほどの安らいだ時間を過ごしました。

17:30を過ぎてもう一度ゆっくり境内を散策してから東銀座へ。
徒歩5分ほどで歌舞伎座が現れます。
歌舞伎のチケットが無くても楽しめる「歌舞伎ギャラリー」と同じフロアの屋上庭園を目指して
エレベーターを上がります。
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ギャラリーは18:00に閉まったところでした。そのため、ひとけがなく、静かです。
屋上庭園が独占状態でした。
庭園を望める日本茶カフェがありますが、こちらも閉店している時間。

建築家・隈研吾氏がデザインした店内でゆったりしたお茶タイムが過ごせますので、
開いている時間帯に喫茶利用だけでもおすすめの場所です。

今回は時間も遅めなので静かにお庭を散策しました。
ここまでの2時間で18:00を過ぎ、会社が終わったビジネスマンたちがビルからあふれ出て銀座がにぎわう時間になっていきました。

2.    上野公園
いつも午後三時以降に散策を始める私がめずらしく朝から行動を開始しました。
7月初旬、蓮の花が咲き始めた情報を聞きつけ、不忍池を目指したのです。
何が何でも午前中に行かなければなりません。
蓮の花は夜明けから花を開き、お昼時にはしぼんでしまいます。
午後10時過ぎに東京メトロ/JR上野駅に降り立ちました。

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まっしぐらに不忍池を目指します。
蓮の花は見ごろより手前の咲き具合で、さんさんと降り注ぐ太陽の陽射しを受けて、蓮の葉が大胆に踊る様子が見えてきました。葉陰から蓮が楚々と咲いています。
不忍池をほぼ一周して、様々な角度から写真を撮りました。灼熱の太陽は日傘を貫通して肌に突き刺さるほどの強さです。汗が滝のように流れてきました。

水分補給を心掛けて歩かないと、日陰が少ない池のほとりは熱中症の危険度が大です。

清水観音堂は上野山の高台に位置しています。不忍池を見下せる、眺めの良い舞台づくりの本堂は京都の清水寺の縮小版です。
そこには歌川広重の浮世絵にも描かれた「月の松」が植えられています。正確には再現されたものが植えられています。

清水観音堂から花園稲荷まで歩きます。この辺りは木立が多く、炎天下の散策で体力を消耗した身体に優しい道が続きます。
花園稲荷は参道に鳥居がいくつも並び、さながら小規模な「伏見稲荷大社」の千本鳥居のようです。そのような場所は都内に他にもあります。上野から近い根津神社も鳥居が並ぶ風景が写真愛好家に人気です。
上野は江戸城から鬼門の位置にあり、パワースポットとしても霊験あらたかな土地です。そんな場所に建立された花園稲荷は「ご縁を結ぶ」パワースポットとして、参拝の人が絶えません。

手を合わせてご縁を願い、美術館の集まるエリアに出ました。汗をかいて少し涼みたかったので国立西洋美術館に入りました。チケットがなくても建物内のレストランやミュージアムショップには入れます。そしてトイレ休憩もできます。
そこで12:30になりました。2時間歩いたところでランチ休憩にはちょうど良い時間になったのでお散歩を切り上げました。




3.    東京駅八重洲口~日本橋室町

東京駅の丸の内側は旧駅舎が趣もあって写真スポットになっていますが、八重洲駅は近代的でバスやタクシーが忙しく往来する、少し落ち着かない場所でした。
そんな八重洲口が最近リニューアルされ、グランルーフと呼ばれる大屋根のあたりに憩いの場所ができました。19:00過ぎに八重洲口からお散歩開始です。

IMG_9675.jpeg 2.88 MB写真上部の中央左寄りに見えるエスカレーターがある大階段へ行きます。
IMG_9677.jpeg 3.54 MB大階段の脇にベンチが設けられ、待ち合わせや休憩にも使える場所になっていました。
日中もグランルーフの大屋根に覆われて日陰になります。熱風は吹いてきますが、直射日光もなくバスやタクシーに乗る前に、また降りた後にちょっと休憩するのに便利です。
E226743D-2B0E-4222-B852-BF95D770294F.jpeg 1.57 MBもともと東京駅再開発にあたっては東京湾からの風を皇居まで通すことを考えられていたそうです。ヒートアイランド現象対策です。
効果はあると思います。日陰になる時間の風は、ほてった身体を癒してくれます。
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別の日の日中に行った時にはエレベーターを上がった二階のペデストリアンデッキにもベンチができていました。また、手すり付近のカウンターテーブルには電源もあって少しお仕事をしたい人には向いています。

このベンチの良いところは、背側のすぐ裏手が東海道新幹線のホームになっており、旅情あふれる昇降のアナウンスが間近で聞こえてくることです。



あまりに暑かった日、私はここで1時間も休憩してしまいました。東京駅でテイクアウトしたお弁当やカフェをここで賞味するのも良いと思いました。

さて、夜の八重洲口を反対側から見下ろし、見渡せる絶景テラス「八重洲テラス」に向かいます。
東京ミッドタウン日比谷の5階にあります。
東京ミッドタウンと呼ばれる商業施設は都内に3か所あり、「六本木」「日比谷」に続いて去年オープンしたビルが八重洲です。地下には「バスタ」があって長距離バスが往来します。そして上層階には高級ホテル「ブルガリ」が今年開業して話題になりました。が、一泊20万以上する部屋は、まさに雲の上の存在です。@&ヨシカさんが以前、お茶をしに行ったブログを書いてくださっています。グランルーフのペデストリアンデッキについても書いていらっしゃいました。

夜の帳が下りた東京駅の眺めです。
グランルーフの大屋根の奥には丸の内のビルが林立しています。

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黄昏時は刻一刻と空の色が変化していきます。グランルーフの大屋根あたりから東海道新幹線のホームが良く見えます。のぞみに乗って遠出したい気持ちに駆られます。
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八重洲テラスにはベンチもあり、同じフロアにはこの眺めがガラス越しに見渡せるカフェもあります。時間をつぶすにも、広々としたテーブル空間でおしゃべりに花を咲かせるにもお勧めの場所です。



八重洲口から日本橋室町へは徒歩10分から15分ほどです。道が慣れていない方には夜間は少し経路が難しいのですが、ナビゲーターを使えばたどり着けます。人通りが少ないので女性一人ではお勧めしません。(念のためです)

DDC74E32-7400-4CAB-8180-60D96222780E.jpeg 1.06 MBCOREDO室町2という商業施設には小さなお社があります。
福徳神社です。旅色Likesでも初詣に行ったことがある場所です。

夜間は社務所も閉まっており、本堂も扉を閉ざしています。わざわざ夜間に赴いたのには訳がありました。ひとけの少ない夜に撮りたい写真があったからです。
夜間の風鈴、民家がひしめき合うエリアなら騒音でしかないと思いますが、そこはオフィスビルに囲まれた境内。複数の風鈴が風に靡いて音を鳴らしても迷惑なことはありません。そのためここでは23時まで風鈴のライトアップを行っています。夜間はさすがに訪れる人も少なく、風鈴の音の波に飲み込まれる時間を堪能できました。
21:00頃、お散歩終了です。熱帯夜でしたが、風鈴が気持ちだけでも体感温度を下げてくれました。

4.    クラフトマンが集う街・蔵前

最近何度か散策する街、蔵前です。
都営大江戸線「蔵前」駅が最寄り駅のエリアです。
今回は、大江戸線が少し運賃が高いので、東京メトロユーザーの私は銀座線の田原町駅から徒歩で蔵前に向かいました。
16:00を過ぎてから本日のお散歩開始です。
10分も歩かないうちにお目当てのお店に到着。ところが、現金のみの取り扱いと聞いてATMのあるコンビニにて資金を調達し、あらためて店舗を訪れました。
お目当ては、この店舗でしか買えないごま油です。
BE5A3931-C95D-427F-BDF1-33A91C024906.jpeg 1.05 MBアメリカから一時帰国している友人にお土産を買いました。自宅用にも購入。
何にかけても万能なオイル、食卓で利用するのが楽しみです。

次に向かったのはチョコレート工房。Dandelion Chocolate というお店です。
3度目の正直でカフェを利用することができました。
1度目は長い行列で待ち時間に余裕がなく断念。
2度目は閉店間際だったのでカフェがラストオーダーだったため無念。
やっと3度目、並ぶ時間も覚悟して向かいました。
行列がありましたが15分ほど待って入店ができました。
B3905389-F3BD-485C-B286-4EEF15123B64.jpeg 1.07 MB食べるチョコレート、飲むチョコレート、凝りに凝ったメニューが並び、注文に迷いました。
私が選んだのは「Chef's Tasting」という5種類のミニデザートプレートです。飲み物はフローズンチョコレートを注文しました。
入店後、二階の席を確保してから1階に戻り注文。カウンターで受け取ってから自分で席まで運ぶ形式です。
店内は高い天井に工房を併設したつくりなので、チョコレートが作られる臨場感を味わうことができます。40分ほどカフェタイムをすごし、次の目的地へ向かいました。

昭和レトロなウグイスビルにはたくさんのお店が軒を並べていますが、お目当てのお店は2階にあります。Lin-ku Laboという革製品や鞄のお店です。


4月下旬に修理に出した鞄を受け取りに行きました。
その際に売り切れていたコーヒー豆の小物ケースが、今回訪れたら再販されていたので、相棒が購入しました。キーケースに使うそうです。
なめし皮が手になじんでやわらかく、かわいらしい形。
瀬戸内海の因島の皮革だそうです。
Lin-kuのマスターはコーヒー好きで、いつも訪れると修理工房の片隅でコーヒーを淹れてくださいます。今回はチョコレートのカフェタイムを過ごした後なので、コーヒーは遠慮申し上げました。でも、豆を挽いて出してくださるコーヒーは貴重で、メニューにあるわけでもなく、あくまでご厚意なのでおすすめされたらぜひご賞味あれ。
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鞄を受け取り、ウグイスビルを後にします。
田原駅までの帰り道に気になるお店を発見しました。
ティファニーブルーの色のテント屋根が目立ちます。
そこは東京リバーサイド蒸留所といい、建物内でジンを作っています。


路面店としてカウンターだけの売り場が設けられ、建物の大部分が蒸留所を占めています。
カウンターに近づくと、店員の方が応対してくださいました。
ガラス張りの蒸留所が見えるので、興味津々根掘り葉掘り話をきいてしまいました。店員さんはボタニカルについての説明や、これまで蒸留してきたジンの ”香り” をためさせてくださいました。
香水瓶に入れたジンを珪藻トレーに吹きかけ、香りを見ることができます。数十種類もあるジンそれぞれの香りの違いを楽しみ、知り、1本購入することにしました。
紫陽花の時期限定数販売のジンで、色も薄い青色をしています。ソーダ―や氷を入れると液体が紫色に変化するそうです。ファンタジー!!!

IMG_9858.jpeg 2.88 MB今回はボトルを購入したのでテイクアウトはしませんでした。
テイクアウトで購入して、気に入ったらボトル買い、という順番でも良いと思います。
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立ち話で時間を費やしたので、この辺で今日のお散歩を切り上げることにしました。
時間は18:00過ぎ。2時間強の散策時間でした。

2時間散歩をしてみての感想

7月に入って平均的に30度を上回る日々。終日お出かけすることはほとんど困難だと悟りました。
2時間、時にはカフェでの休憩を含めて歩いても体力を奪われていることに気づきます。安全に、安心して観光できる時期ではないのでしょうか。東京はビルも多いので日陰を選んで歩くこともできます。また、ターミナル駅は地下道を活用してなるべく直射日光にあたらない工夫もできます。とはいえ、「日向の道を歩く」というのは限界があると思います。1日の中でアクティブに動くコアタイムを決め、あとは天気や体調に合わせて調整するのが妥当かな、と感じました。

あくまで個人の見解です。
皆さんは暑い中の旅のスタイル、何か工夫はありますか?
良いアイディアがあれば教えてください。