この数年ほとんどスノーボードやスキーに行くことがなくなりました。しかし雪山には、何度も何度も訪れています。「雪山登山」という方向へ、冬の楽しみ方が変わったのです。
ここ5年くらい、1ヶ月に3座以上。12月〜3月の冬季だけで、毎年12座以上、雪山へ登りに行っています。
雪山登山というと、一般的には危険なイメージかもしれません。しかし、ちゃんと準備をすれば、必ずしも危ないものではなく、取って代わるものがないほど、好奇心が満たされるアクティビティです。
冬の大文字山で知った雪山の魅力
アルバイトの日だったのですが、その日は大雪で急遽お休みになり、何をしようか悩みあぐねていたところ、何を思ったか裏手にある「大文字山」へ登ることにしたのです。 いつも軽ハイキングを楽しんでいるお山でしたが、冬は初めて。見慣れたはずの道も、雪で真っ白に覆われると、まるで別世界のように違ったことを今でも覚えています。
雪山通いに明け暮れた、学生時代の終わり
積雪量が多いと、雪山登山はかなりの体力を消耗するので、学生らしい泥くさい思い出も多いですが、それでもあのとき見た絶景が、臨場感たっぷりで胸に焼き付いています。 ・杉の大樹が凍りつき、幻想的な愛宕山山頂。
・真っ青な空と、雪景色の対比が、この上なく美しい武奈ヶ岳。
・琵琶湖を見渡す、爽快な蛇谷ヶ峰。
など、現在山岳旅ライターとして活動する、私の原点と言える、宝物のような思い出たちです。
心の支えになってくれる、素晴らしい趣味となった!
雪山へ訪れるたび、登った者しか見られない一期一会の風景に出会い、降雪すれば真っ先に雪山へ駆けつけている自分がいました。
新卒で入った体育会系の会社でしごかれて、会社に行く気力が湧かず、欠勤して金剛山へ登りに行ったことも、今となっては懐かしい思い出です(笑)どんなに辛い時でも、いつも素直な自分でいられる、ストレートに感動できる雪山は、私の心の支えになってくれました。
大学時代からの親友を雪山の世界に誘ってからは、中部・関西地方を中心として、50座以上の雪山を巡っています。その度に、心かき立てられ、日々仕事をする上でも、さまざまなインスピレーションを得ています。
雪山登山から派生する旅へ
一番分かりやすいのが温泉です。雪山で冷え切った手先足先を温めるため、下山後はよく温泉へ向かいます。登山口の近くには、地元の知る人ぞ知る穴場な温泉施設があったりします。
例えば、奈良県の明神平へ登ったときには、帰りに「やはた温泉」に立ち寄りました。浴槽が古代檜で作られており、木の香りとスベスベとした泉質にも癒され、大いにリフレッシュしたのは最高の思い出です。
また愛知へ帰る間際、四日市名物のトンテキや、工場夜景を楽しみ、大満足の雪山登山旅行となりました。閉ざされた過酷な登山と、自分を甘やかせるだけ甘やかす登山後の旅行。
どうやっても相容れないのですが、まるでサウナと水風呂のように、病みつきになる中毒性があるのです。そんないささかマニアックで、変人的な旅のスタイルを、今日もまた楽しんでいます。
旅行もより個別化している時代。王道よりも、より尖った方角へ。せっかくの人生、行く場所だけでなく、さまざまな楽しみ方の選択肢も、大事にしていきたいものですね。