みなさんは友ヶ島という島をご存じでしょうか?
友ヶ島は和歌山と淡路島の間、紀淡海峡に浮かぶ小島。
和歌山の郊外、加太港から船で20分の所にあります。
旅行好きの皆さんならご存じかもしれませんね。
ここは通称「ラピュタの島」として近年人気を集めている島なのです。
なぜラピュタの島なのか?その理由は後程として、
実は去年の5月にもこの島に行くために加太港まで来ていました。
天気もいいし、絶好の島めぐり日和!そう思っていたのですが…
がびーん…
なんでも午後から天気が下り坂なようで、朝1番の便のみ出てあとは欠航とのこと。
人命第一ですから、やむをえません。
ということで、今回は私にとってリベンジ訪問。朝4時に友ヶ島汽船さんのホームページを見れば今日(5月29日)は臨時便も出して運航しますとのこと。張り切って三重県から馳せ参じました。
3時間車を飛ばして加太港には10:00に着きましたが、渡された整理券は11:30の船。今日は臨時便が多く出ているのですがそれでも100人乗りの船を90分待ち。人気の高さがうかがえます。
90分の待ち時間も加太港で潮風に吹かれながら海を眺めていればすぐに過ぎてしまいます。加太港から今回の目的地、友ヶ島が眺められます。今からここに行くんだと思うと心が高ぶります。
さあ、いよいよ出発!同じ船に乗る予定のお客さんも続々と乗り場に集まってきています。友ヶ島では売店はないので帽子など必要なものはここで買っておくといいでしょう。
久し振りの船でテンションが上がります♪ 船室内に座席があるのですがオープンデッキで立っていることもできます。できるだけ海を感じていたくて外で写真を撮りまくっていました。今日は波も穏やかでほかの船やヨット、水上バイクも多く見かけました。
島が近づいてきました。いよいよ1年越しに友ヶ島に上陸することができます。こういう色をマリンブルーというんでしょうか。海の美しさに感激します。人の手が入っていない島の海は本当にきれいです。
乗船場でもらった散策マップ。左側・東部は今は立ち入り禁止で、港より右、西部を周ります。こちらの方に観光資源も集まっています。地図の中に「砲台跡」なるものがいくつかあります。これが友ヶ島が「ラピュタの島」といわれる理由です。
それでは、その砲台跡に行ってみましょう。
この島には舗装された道路はありません。整備された山道を登っていくと、第5砲台跡に到着します。
それでは、いよいよ1年越しの友ヶ島の砲台とご対面…!
おお…うち棄てられた煉瓦造りの建物の廃墟感。上部へ登っていく階段やコンクリートに絡まるつる植物のすべてが天空の城そのものではないですか!
これを見に来た来島者の9割以上の人は頭の中で
♪あのちーへいーせーん~
と歌っていたはずです。
さきほども書きましたが、友ヶ島は淡路島と和歌山の中間に位置します。この北側には京都、大阪が控えていています。特に明治期には友ヶ島は大阪湾に外国船が侵入するのを防ぐための重要な軍事拠点となり、これらの砲台を含めた要塞がこの地域に多くつくられたのです。
こちらはより山の高い位置にある第3砲台跡。自然の中にぽつりと残された煉瓦造りの建物。異世界に迷い込んだかのような錯覚に陥ります。
第3砲台は地下から中に入ることもできます。外国映画の中で財宝を探しに廃墟を探検している場面がありますが、それを彷彿させます。
暗いトンネルの中をさまよい歩くと急に明るい広い場所に出ます。ここが砲台の置かれた場所でしょうか。かつてここで先人たちが国を守るため任務にあたっていたのだということを肌で感じることができます。
こちらはもっとも海に近い第2砲台跡。かなり崩れてしまって立ち入りはできません。自然崩壊もあったかもしれませんが、そもそも終戦時に爆破して使えなくしたとのことです。
砲台跡の瓦礫の向こうにタンカーが航行していきます。いまでこそのどかな景色ですが、戦時中は航行する船が外的なのか見極めていたのでしょう。
それにしても令和の今、こうして「ラピュタの島」として自分たちが再び脚光を浴びることになるなんて、砲台たちは思ってもみなかったでしょうね。
さて、友ヶ島の観光スポットは砲台跡だけではありません。こちらは島の西端、淡路島側にある灯台。江戸時代末期に兵庫港開港の際、条約で設置を約束し明治5年に初点灯したとても歴史ある灯台です。友ヶ島が船の航行上もとても重要な場所であったことがわかります。
広い広場のあるタカノス山大展望台。ここでお昼を食べる家族連れが多くいました。島をわたる海風がとても心地いい。
先ほど見た灯台を見下ろせます。海の向こうは淡路島。そしてその向こうは四国まで望むことができる絶好のビューポイント。ここで家族一緒に食べるお弁当は一生の思い出になるでしょう。
ぐるっとまわっておよそ3時間。船着き場に戻ってきました。船を待ちビールを飲みながら海を眺めるお仲間たち。のどかな光景です。
戦争の歴史を感じながらラピュタの世界に浸れ、美しい海も楽しめる近くて遠いい空間の世界。冬場は海も荒れるので船も少ないです。是非夏のこの時期に訪れてみてください。
2022/05/30 22:44