邸宅の記憶展は6月4日まで公開中
何かの美術系番組で見て以来、いつか見学したいと思っていた邸宅へ潜入しました。
白金台にある東京庭園美術館の旧朝香宮邸です。
建築や装飾、調度品などのアールデコデザインが邸内を飾ります。
庭園美術館というだけあり、庭園のみの入園も可能です。
今回は展覧会「邸宅の記憶」で宮家の様々なお品物を
展示しているので楽しみ倍増でした。
予約の電子チケットにて入園し、長いアプローチを抜けると、
そこには3階建てのクリーム色の洋館が佇んでいました。
中は写真撮影が可能なので、お気に入りの部屋や装飾をたくさん撮影しようと思っていました。
午後3時の入館です。
正面玄関のルネラリックのガラスドアにまず見惚れて立ち止まります。
一枚ヒビが入っていました。
これにまつわるエピソードも案内板に書いてあります。
そのエピソードがあって以来、このガラスドアは特別なお客さまの来館以外は開けることがなかったそうです。
朝香宮は1906年に設立された宮家です。アールデコ全盛期のパリで過ごした経験から、
帰国後の東京に戻ってフランス人建築家に邸宅を設計してもらいました。
数々のお部屋を巡りながら、そこで暮らした宮家の日常を垣間見る
調度品や写真が展示されています。
その窓から見える景色はきっと当時のままなのでしょう。
特に照明はどれひとつとってもデザインが凝っていて同じものがありません。
また、壁紙や建築の装飾もアールの曲線が滑らかで
硬い素材であることを忘れさせてくれるようなデザインです。
私の大好きなルネラリックの作品もあります。
生活の中で息づく貴重なち調度品の数々をじっくり近づいて鑑賞できます。
中でも気に入ったお部屋は大食堂です。
ルネラリックがデザインした天井照明、「パイナップルとザクロ」がモチーフです。
言われなければ気づかないのですが、どちらも複雑な造形だけに、
照明のガラスにデザインする感性が素敵です。
そして、この照明にインスパイアされたケーキを併設のカフェでいただくことができます。
午後3時半、おやつにちょうど良いです。
テラス席が空いていたのでケーキを注文。
ランチもまだなのでサンドウィッチボックスもいただきました。
芝生の庭園を眺めながら、のんびりのお茶タイムです。
このテラス席がお目当てで、どうしても平日の混雑のない時間、
晴れた日に行きたかったカフェです。
初夏の木漏れ日が射すテラスでのひととき。
優雅な気分でした。
さて、まだ本命の展覧会を見ていませんでした。
ギャラリーの中へ入ります。
宮家の貴重な調度品や豊富なボンボニエールのコレクション
お着物も壺も素晴らしい工芸品ですが、私が特に興味を持ったのがボンボニエールです。
天皇家がお祝い事があると引き出物として用意する小さな入れ物。
中には小さなお菓子、たとえば金平糖などを入れるそうです。
大抵は銀なのですが、戦時中の王女の婚礼では銀が入手できず、
素朴な木製のボンボニエールだったとか。
身長より高いところまで陳列してあって、踏み台が欲しかったです。
小さな手のひらサイズの入れ物がこんなにも一度に見られることは滅多にないので
また眺めに行きたいです。
建物見学と展覧会の鑑賞で4時半になりました。
陽が沈む前にお庭を散策したかったので、後ろ髪引かれる思いで
外へ出ました。
夕刻のマジックアワーに佇む和と洋の庭園へ
庭園美術館というだけあって楽しみです。
芝生の庭を抜けます。
邸宅とは別棟のギャラリー併設カフェ、
テラス席も見えます。
そこを横切り、日本庭園へ。
築山が巡らされた池泉回遊式庭園です。
起伏のある庭が池を囲みます。
錦鯉が泳いでいて、アオサギが水辺に佇む風景です。
芝生の庭にはソメイヨシノも植えられています。
花見の時期はきっと賑わっていることでしょう。
見学した4月中旬は八重桜が満開でした。
メインゲートに近い園内のレストランは入園料を払わなくても利用可能です。
桜も見えるガラス張りの席、桜開花の時期は花見席として特等席ですね。
展覧会にちなんだメニューもあって、食事利用してみたいです。
至高のものに触れるひとときはこころの栄養剤です。
(基本情報)
開館時間:10:00-18:00 (入館は17:30まで)
庭園のみ公開の期間は、
旧朝香宮邸(本館)と新館には入れません。
トップページのカレンダーでご確認下さい。
休館日:毎週月曜日
(祝日の場合は開館、翌日休館)、
年末年始
以上Web siteより
白金はなかなか用がないと行かない場所かもしれません。
他にお庭のおすすめが2箇所あります。
・目黒雅叙園
内部の百段階段も豪華絢爛なお座敷も見応えありです。
・八芳園
桜の時期は特におすすめ。紅葉も綺麗です。食事やお茶利用でも居心地がいいです。
結婚式場、だけじゃないんです。
お茶や食事を兼ね、ゆったり時間を過ごす優雅な白金台散策、
緑がいっぱいで気持ちもリフレッシュできます。
新緑から万緑へ移ろう5月、お出かけメモの1ページに加えてください。